自己破産とはなにか?自己破産したらどうなるの?
『自己破産』 というワードについて、誰しも一度は聞いたことがあるかと思います。
しかし一体どのような条件で自己破産となるのか、自己破産した場合どうなるのか、はっきりしたイメージは思い浮かばない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、自己破産に関する知識を身に着けたい方や自己破産に関する不安を抱いている方へ向けて、自己破産に関する様々な情報をお伝えします!
是非、参考にしてみてください。
そもそも自己破産って何?
そもそも、自己破産とはどういうものなのか。
まずは自己破産の基本的な概要から、よくある誤解に関してまでご幅広くご紹介していきます。
自己破産の概要
自己破産とは、経済的に 借金の返済 が困難になってしまった方が、裁判所に申し立てを行いローンなどの借金の返済を 免除 してもらう手続きのことをいいます。
裁判所から免責許可決定を得られれば、現在抱えている借金を帳消しにして、返済の義務から逃れることが可能です。
しかし、保有している不動産などの資産も すべて処分される 可能性があります。つまり生活必需品を除き、すべての財産の価値を算出し、それを債権者に返済する手続きです。
債権者側が債務者の破産を申し立てることも出来ますが、基本的には債務者側が申し立てるのが一般的となっています。
自己破産って誰でもなりうるの?
自己破産の概要からと見なされるための条件は自己破産すると 借金が帳消 しになり、返済が免除されることが分かりました。
しかし、そうなると借金を抱えている人がこぞって自己破産の申し立てを行うのでは?と思いませんか。そうなっては、借金の帳消しを強いられる債権者にとってあまりに酷ですし、誰もお金を 貸さなくなって しまいます。
よって、自己破産と認められるためには、債務を返済していくための財産や能力がない=「 支払い不能 」であるというふうに裁判所からみなされなければなりません。 その「支払い不能」とみなされるための条件は、次のように設定されています。
例えば自己破産の申し立てを行った人が車や不動産を所有していた場合、「支払い能力あり」とみなされ、それら保有物はすべて 没収され債権者に分配 されます。
また、失業していて 無職 だとしても裁判所が 労働可能 と判断すれば支払いを継続できるとみなされ、破産は認められません。
逆に 生活保護受給者 は、債務の総額が少なくても、支払い能力がないとみなされることもあります。
自身が、「支払い不能」と認められるかどうかは、 債務の額 や個人の状況によって異なります。
支払い不能状態の判断は難しいケースもあるので、弁護士や司法書士などの専門家に判断を仰いでみましょう。
自己破産後の生活
自己破産することで、その後の生活になにかデメリットが生じるのではと不安に思う方もいらっしゃるかと思います。自己破産したその後の生活は一体どうなるのか、ご説明していきます。
まず自己破産したという情報の漏洩に関して、自己破産したということは「 官報 」に掲載され、一般的に公表されることになります。
しかしこの「官報」は、 データベースとして検索できる類のものではなく、一般の方が官報掲載情報をチェックすることはありません。そのため自己破産という事実を公に知られるということは考えにくいです。
また、自己破産した場合、いったんは「破産者」という地位になり、本籍地の市区町村役場の「破産者名簿」に記録が残ります。こちらも第三者が勝手に閲覧することは出来ませんので、情報が洩れることはありません。
ちなみに免責が確定した段階で、「破産者」という地位はなくなり、破産者名簿からも削除されます。
このように、簡単にアクセスできる情報には自己破産の記録が残ることはありませんが、信用情報機関には事故情報として記録が残ります。
結果、クレジットカードを作ることが出来なくなり、各種ローンの審査にも通らなくなります。
ただし、自己破産から5年~7年でこの記録も抹消されます。自己破産の情報が一生消えないということはないので、ご安心ください。
次に自己破産したという事実が実際に生活にデメリットを及ぼすのかご説明します。
まず自己破産後の収入に関して、自己破産した後に稼いだお金を没収されるということはありません。
自己破産とは、それまでの借金を一度総清算して今後の生活を再構築することを目的としているからです。
また、家を借りることも出来ます。賃貸借契約を締結する際に、保証会社との契約が必須な場合は、信用情報に記録が残っているため契約締結が難しい場合もあります。しかし、シンプルに貸主との間で賃貸借契約を締結する場合は、自己破産の経歴が漏れることはありません。
自己破産をしたことで、その後の生活が一気に傾いてしまうということはないので、過剰に心配する必要はないですね。
自己破産に関するよくある誤解
次は、自己破産に関するよくある誤解についてご説明していきます。
『戸籍や住民票などの公的な証明書に記載される』
自己破産の申し立てや免責決定など、自己破産に関する情報が戸籍や住民表に記載されることはありません。
『選挙権が制限される、またはなくなる』
自己破産申し立て、破産手続き開始決定、免責決定のいずれも選挙権剥奪、散居県の制限には繋がりません。
『家じゅうのものすべてを手放さなければならない』
前述にある通り、生活必需品は手元に残すことが出来ます。
『海外旅行に行けなくなる』
日本人であれば出国の自由があり、自己破産したとしても、手続きを済ませれば何も制限されることはありません。
以上、自己破産に関するよくある誤解についてご説明しました。想像していたよりも、生活が困窮したり、何もかも制限されるということはありません。
自己破産してしまった場合について
次は、自己破産となった場合の手続きの流れから、自己破産した際のメリット・デメリットについてご説明していきます。
自己破産の手続きの流れ
まず自己破産する場合には、前述の通り「支払い不能」とみなされていることが前提です。支払い不能とみなされた後、債務者の所在地を管轄する地方裁判所に対して破産手続き開始の申し立て、そして免責許可の申し立てを行います。
破産手続きの開始を申し立てることで、同時に免責許可の申し立てもしたとみなされるという扱いになっています。 破産手続き開始の申し立てに不備がなければ、原則申し立てから約1か月後に裁判所から呼び出しがかかります。
自己破産の申し立てについて、裁判から直接口頭で様々な質問がなされ、本当に支払い不能の状態であるか判断されます。その後、裁判官によって破産手続き開始の判断が得られた場合、開始の決定がされ次のステージに進むことになります。
破産手続きが終了した後、残りの借金があればそれについて免責するかどうかの判断がされます。
再び裁判所から呼び出しがかかり、免責に関して裁判官から様々な質問がされます。
破産手続き開始の決定がされてから、約2か月から3か月程の期間を要するのが一般的です。最終的に裁判所から免責許可の決定がされれば、免責が確定し、抱えていた債務が消滅することが決定となります。
自己破産した際のメリット
自己破産というワードだけで悪いイメージが思い浮かぶ方もいらっしゃると思いますが、自己破産した際のメリットとは何でしょうか。
まず、シンプルに借金の返済義務がなくなり、借金生活から解放されます。そのことによって、精神的な苦痛からも解放されます。
借金を抱えているときは、消費者金融からの執拗な電話や督促状が送り付けられることもあるでしょう。しかし自己破産することでこれらからも解放され、平穏な日々を送ることができます。
自己破産した際のデメリット
反対に自己破産した際のデメリットについてご説明します。
最も大きなデメリットとしては、前述にある通り、所有している車や持ち家・不動産などを没収にされることです。 他のデメリットとしては、家族に自己破産のことがばれてしまうかもしれないということです。
基本的には、身内に対する調査が行われることはなく、家族にばれないように自己破産を行うことは可能です。
しかし、自己破産を申し立ててから最終的に免責が下されるまでは数か月の期間を要し、その間ずっと「もし自己破産のことがばれてしまったら」という不安が過ぎります。実際にばれるとしたら、このケースが1番です。
自己破産における免責について
最後にこれまでも何度か出てきていた、免責についてご説明していきます。
免責とは、借金などの債務に関して、その支払い義務を免れることです。
しかし、必ずしもすべての債権が免責される訳ではなく、免責されない債権も存在します。
許可されない免責とは
免責決定を得ることが出来たとしても、帳消しにならない種類の債権を「非免責債権」といいます。
自己破産すればすべての借金が帳消しになるとご説明してきましたが、公の支払い義務に関しては全く0にすることは出来ません。そのような非免責債権をいくつかご紹介していきます。
『税金などの公的な請求権』
これには固定資産税や住民税、国民年金などが当てはまります。
これらについてまで免責を認めてしまうと、制度が悪用され税収が大幅に減少し、社会制度の根幹までゆるがす事態になる可能性があるからです。
『不法行為に基づく損害賠償請求権』
過去に何かしらの事件などで加害者となった債務者が損害賠償請求を受ける立場にあるとき、この損害賠償請求権は面積の対象から除外されます。
これが免責となってしまうと、金銭的に困っている加害者である債務者の方が、かえって得をすることになりかねません。
『離婚に伴う養育費、財産分与など』
離婚した配偶者からの養育費の請求や、婚姻費用の分担請求なども、非免責債権として規定されています。
専門家に相談しましょう
自己破産について、概要から始まり良い面や悪い面も含めご説明してきました。
簡単に自己破産を行うことは難しいですが、かといって自己破産出来ないと自己完結し借金を返すために無暗に闇金に走るという行為などは、最もしてはいけません。
まずは弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。